マイホームを財産分与で渡す
2019年の熟年離婚の件数は約40,000件で、離婚全体の約20%を占めています。
子供も独立し住宅ローンもようやく払い終わったばかりなのに、突然離婚を告げられた。
テレビドラマのような話ですが、統計から見ると決して他人事ではありません。
財産分与について話合い、自分名義のマイホームを渡し家を出て行くことになってしまった。
心機一転やり直そうと思っていた矢先、渡したマイホームにさらに税金が取られることを知らされ、その場にかがみ込んでしまった。
ドラマであれば面白いと思いますが、現実に体験した方は笑えないシーンです。
財産分与で自宅を渡し、更になぜ、国は私から税金を取るのか?
ひどい話と思われるでしょうが、本当に取られるケースはあります。
この税金を払わなければいけない場合について、わかりやすく解説していきます。
この記事は、宅地建物取引士のダイヤモンド石田敦也が作成しています。
譲渡所得税がかかるケース
離婚して財産分与の中に不動産があると、すべて税金がかかってくる訳ではありません。
どのようなケースで税金がかかってくるのか、解説していきます。
例えば、30年前に結婚してすぐに郊外に新築一戸建てを購入した。
当時はまだ土地も安く2,000万円で購入することが出来ました。
その後、近所に大型ショッピングモールが出来たりして、今ではかなり大きな街になっていました。
それが、いきなり離婚の通告を受け、自分名義の家をすべて渡すことになり、現在の価格を調べてもらうと、なんと3,000万円前後で売れると言うことです。
このように、買った時よりも大きく価格が上がってしまっているケースで、税金が取られることになります。
この利益の部分を譲渡所得と言います。
居住用財産3,000万円の特別控除を使う
でも、安心して下さい。
条件を満たせば、回避する方法もあります。
それは、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を使います。
この特例を使うと、上の譲渡所得から3,000万円を引けるので、ほとんどのケースで税金を払わなくて済みます。
一番重要なポイントは、特定の親族への譲渡には適用にならないので、正式に離婚し籍が抜けた後に譲渡する必要があります。
また、所有期間は関係ありませんので、5年以下5年超を気にする必要はありません。
離婚前であれば贈与税の配偶者控除
3,000万円の特別控除の特例は、正式に離婚が成立した後に譲渡することがポイントでしたが、離婚前であれば、「2,000万円まで配偶者控除」が使える可能性があります。
結婚期間が20年以上の夫婦であれば、マイホームの贈与が行われた場合は、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで配偶者控除が使えます。
時価ではなく路線価や固定資産税評価額で計算してくれるので、マイホームでは2,000万円以上の効果を発揮します。
この配偶者控除は夫婦にしか使えませんので、離婚前の利用することが必要です。
まとめ
離婚時の財産分与に不動産があると、渡した側に税金が発生するケースもあると言うことを理解しておいて下さい。
普通に生活している中では、考えられないような課税の仕方ですが、実際に譲渡所得が発生すれば税金を取られる可能性はあります。
譲渡所得が発生した場合は、3,000万円特別控除を使うようにして下さい。
また、マイホームを売却して換金し分ける場合は、当社に是非ご相談下さい。
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